スタン・ブラッケージ略歴
1933年アメリカカンザス生まれ。
ダートマス大学在学中の1952年、演劇活動の傍ら、初めての16ミリ作品『INTERIM』を撮る。
1955年からニューヨークで活動、
アメリカ実験映画草創期の作家たちと出会い多くの作品を発表する。
初期のサイコドラマ的作品を経て、その後、神話詩、抽象的映像詩へ、とりわけ“アヴァンギャルド・ホームムービー”と呼ばれる作品群に移行する。
1980年代後半より、
フィルムに直接ペイントを施す
"ハンドペインティング"を連作、
独自の色彩と光による見事な万華鏡を作りだした。
その作品は400本余りを数える。
2003年3月死去。
死の淵にありながらも意欲的な創作活動を続け、没後にはスタンを敬愛した映画作家たちの手により数本の作品が完成した。
赤と黒の画面の繰り返しから映画は始まる。知覚が無垢な状態とはいかなるものか?
幼少の子どもたちとのコロラド山中での生活の様子が、多重露光、コマおとし、フェードイン・アウト、ネガポジ反転などの様々なフィルムテクニック上に展開される。
雪と氷、結晶が見られる厳寒の外と、子どもたちがベッドの上を裸で戯れる家の中。
家族で過ごす日常の様子を、まだ色を認識していない胎児から新生児の頃のイメージ―瞼を閉じたときに現れる赤や緑・青・紫・黒色の画面―と共に丹念に織り込んでいく。
想像してみよう 知覚の冒険を通して知っていく眼を 何も教えこまれていない眼に
光はどれほど多彩な虹をつくりだすことか
想像してみよう 理解できないものたちで溢れた世界を 終わりなき動きと数えきれぬ色で光ゆらめく世界を